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税  務


      平成28年度税制改正大綱のポイント(個人課税編)


                        税経管理第12部 部長 清水


 以下、個人課税を中心に、一般的に影響の大きいと思われるものをご紹介いたし

ます。(内容を一部省略しております。)

 ※ 概ね増税となるものは【増】、納税者有利となるものは【減】と表示します。


1. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設【減】


 被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、相続開始時から約3年以内にその家

屋(または土地)を譲渡した場合には、その家屋等の譲渡益から3,000万円を控除

することができるようになります。

平成28年4月1日から平成31年3月31日までの譲渡に適用されます。


2. 住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設【減】


 自己所有の家屋に一定の三世代同居改修工事等をして居住した場合に、5年間の住

宅ローン控除(最大12.5万円×5年)、または、その年のみの税額控除(最大25万

円)が適用されます。

 一定の三世代同居改修工事とは、@ キッチン、A 浴室、B トイレ、C 玄関の

いずれかを増設し、改修後に@〜Cのうちいずれか2つ以上が複数となるもので、

その工事費用が50万円超(補助金等控除後)となるものです。

 平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間の居住に適用されます。


3. 医療費控除の特例の創設【減】


 適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康診断や予

防接種等を受けている個人を対象に医療費控除の特例が創設されます。

 一定のスイッチOTC医薬品を年間12,000円以上購入した場合、12,000円を超え

る金額分の所得控除が受けられます。上限は88,000円で、現行の医療費控除との選

択適用となります。

 平成29年1月1日以降の購入が対象です。


4. 非課税所得の見直し【減】


 平成10年度の改正で50,000円から100,000円に引き上げられて以来据え置かれ

ていた通勤手当の非課税限度額が、150,000円に引き上げられます。

 新幹線網の発達により遠方からの通勤者が増え、通勤費用が100,000円を超える

ケースが多くなってきたようです。また、新幹線通勤を促すことにより都心部への

人口集中を避ける狙いもあるようです。

 平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当につき適用されます。


5. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る資金の範囲の明確化【減】


 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の対象となる『不妊治療費』には、薬

局に支払う医薬品代(処方箋に基づくもの)が含まれること等が明確化されました。


6. クレジットカード納付制度の創設【減】


 振替納税やダイレクト納付に加え、クレジットカードによる国税の納付が可能と

なります。クレジットカードの利用手数料は利用者(納税者)の負担、納付金額が

1,000万円未満などの条件がありますが、納付書で納付できる国税は税目を問わずに

納付できるようになります。

 平成29年1月4日以後の納付について適用されます。


7. 税務調査の事前通知後の加算税の見直し【増】


 国税通則法の改正による事前通知の義務化後、事前通知直後に修正申告等をする

ケースが多くみられるようになりました。

 現行では、事前通知(税務調査のための日時の連絡)後であっても更正があるべ

きことを予知してされたものでなければ過小申告加算税は課されませんが、当初申

告のコンプライアンスを高める観点から、『事前通知』から『更正予知』までの期間

については、新たな加算税(『更正予知』後の加算税よりも一段低い加算税)の対象

となります。

 平成29年1月1日より適用が開始されます。


 以上、概要をご紹介させていただきました。

 ご関心や疑問点等がございましたら、お気軽に担当者までご連絡ください。


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