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サ ロ ン


             
商売のヒント


                      税経管理第3部 部長 林


 「商売のヒントは何かないか?」そんな事を考える人は沢山いると思いま

す。

 会社の経営者をはじめ、様々な仕事に携わっている人達がこの様な事を考

えていると思います。私もその一人です。


 ビジネス本や専門的な知識を習得し、そこからヒントを見つけるというの

は、勿論あると思います。今回は、目先を変えて他の面から考えていきます。


 仙台には、古びた写真を飾っているお店が沢山あります。その写真が実在

した人物、仙台四郎といいます。


 「仙台四郎の物語 福の神になった少年」に詳しく紹介されていますが、

四郎の生涯を追った本で、この本は児童書ですが、登場する人物も色々な人

物がいて、色々な教訓が入っているので、大変奥の深い本です。


 四郎は、少年時代に「シロバカ」と呼ばれ、馬鹿にされていました。知的

障害を持っています。やがて、四郎を利用して、商売で大成功し、大金を手

にし、豪邸を建てたものの、その豪邸も財産も火事で失い、人生も失ったと

感じる人物も登場します。


 その人物は、「福さいふ」といって、四郎の姿を書いたものを、さいふにつ

けて売るという、四郎本人ではなく、四郎を直接使う事を通り超えて、間接

的に利用する事まで考え、金だけ追いかけた事がそうして裏目に出たのです。


 四郎を商売に利用するだけの店主の店では、繁盛していた店も、やがて客

足も遠のくでしょう。


 この本では、他にも色々な人物が登場しますが、四郎は誰とでも同じ様に

接している為に、とにかく、四郎の純朴な気持ちが際立っているという印象

を受けます。四郎の優しさが、随所に見られて、とても痛快です。


 四郎は、頼まれていない店の掃除を手伝い、そこでご飯をごちそうになり

ながら暮らします。


 様々な店を渡り歩きますが、四郎を邪魔にする店、四郎を見守る店もある

など、店によっても様々な対応の違いをみせます。


 ところが、四郎を邪魔にする店は、繁盛しておらず、四郎を温かく受け入

れてくれる店はどこも繁盛しています。


 これは、商売している人間は勿論、誰にでもいえる事だと思うのですが、

この客を選ぶ、人を選ぶという事は人間である以上は何となくそういう部分

はあると思いますが、この本を読んで、それを見直す良いキッカケになった

部分です。


 終章で、四郎は、いつ、どこで亡くなったのかわからないまま話は終わっ

ています。


 知的障害者にもお年寄りに対しても、どんな客でも同じよう接する事、そ

の様な基本的な事、専門的な知識やビジネス本では得られない商売のヒント

が隠されているかも知れません。


 そんな基本的な事を、この本は教えてくれた様な気がします。


 仙台四郎の物語

  福の神になった少年


                  丘 修三 作 佼成出版社


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