投資育成会社から出資を得る策 相談者のAさんは食品加工の中小企業を長年経営しています。 業績は 順調に伸びて資産も増え、自社の株価の評価も高くなりそうでした。 Aさん 「会社を譲る際の課税はどうなるでしょうか」 税務のプロ 「このままでは、株式の課税評価額が大きくなりますね」 Aさん 「評価を下げるためといっても、赤字にするわけにもいかんし」 税務のプロ 「それなら政府公認の中小企業投資育成会社にお願いし て、自社株の評価減対策を検討されてはいかがでしょうか」 Aさん 「なんだいそりゃ…」 税務のプロ 「投資育成会社に自社の増資・新株引受権を引き受けても らいます。 一定の配当の継続が必要ですが、経営権はそのままです」 Aさん 「どうやって評価を下げるのかね」 税務のプロ 「投資育成会社の投資では1株の出資額は概ね配当還元 額となります。 低廉増資なので株の評価が下がる効果があります」 Aさん 「1株の評価が低くなる効果で、株全体の評価を下げるわけか」 税務のプロ 「そうです。 ただし審査がありますから、念のため」 税務のプロが語る 「知っ得話」 〈猶予制度を受ける手続き〉申告期限まで 〈猶予適用後に要請される主な事項〉納税猶予期間中 相続した際に経済産業大臣の認定が必要 (地方経済産業局に8カ月以内に申請) 納税猶予される相続税等に見合う担保を提供する必要があります (注)特例適用する株式等を全て担保提供する時は、上記担保とみなす 特例を受ける旨を記載した相続税の申告書などを税務署へ提出 継続届出書を相続税申告期限後の5年間は毎年、5年経過後は3年ご とに税務署へ提出 事業継続報告を相続税申告期限後の5年間は毎年、経済産業局に提出 後継者が申告期限後の5年間までは会社の代表者であること 申告期限後の5年間までは平均で雇用の8割以上を維持していること 〈贈与税の納税猶予制度〉第4章 ー 12 参照 〈相続税の納税猶予制度と適用に必要とされる要件〉 1. 会社に要請される要件 3. 先代経営者に求められる要件 2. 相続開始の時に後継者に求められる要件 中小企業基本法の中小企業等で、かつ非上場会社であること (注) 資産管理会社や風俗営業会社に該当しないこと等 ●会社の代表権を有していたこと ●相続開始の直前において、先代経営者及び先代経営者と特別の 関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ 自らが後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を 保有していたこと 相続開始の日の翌日から5カ月後において代表権を有していること 後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の 50 % 超の 議決権数を保有し、かつ自らが最も多くの議決権数を保有している こと 後継者の贈与税額のうち非上場株式等(発行済議決権株式等の3分の 2に達するまでが限度)の全額に対応する贈与税の納税を猶予します。 後継者の相続税額のうち議決権株式等(相続後で発行済議決権株式 等の3分の2が限度)の80%に対応する相続税の納税を猶予します。 注)2017 年 1 月 1 日以後、贈与税納税猶予時の相続はこの要件を撤廃 第4章 中小企業にとって難題の事業の継承には、相続を巡る納税の猶予 などの支援策が用意されています。こうした公的制度を生かし、対 策を打っておくことが、従業員や後継者、取引先にとって望ましい といえます。 13 会社を次世代へ引き継ぐノウハウ (一般措置) 中小企業の承継・税の猶予 4