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of The Sky No.114 Page 2
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税務
19年度から所得税・住民税が変わります
税経管理第1部長 宇野澤雅男
1.税源移譲
地方分権を積極的に進めていく「三位一体の改革」により、平成18年度
の税制改正によって、国税である所得税の一部が地方税である個人住民税に
「税源移譲」されることになりました。
所得税は平成19年1月分から、住民税は平成19年6月分からそれぞれ
実施されます。所得税と住民税の税率を変えることで、国から地方へ3兆円
の税源が移譲されることになりました。
所得税は4段階の税率を6段階に細分化(所得税と住民税を合わせた税負
担が変わらないよう制度設計)し、住民税は3段階の税率から一律10%(県
民税4%・市民税6%)に変更されました。ほとんどの方は、1月分から所
得税が減り、そのぶん6月分から住民税が増えることになります。しかし、
税源の移し替えなので、「所得税+住民税」の負担は基本的には変わりません。
ただし、定率減税の廃止や住民税の老年者非課税措置の廃止に伴う経過措置
など別の要因による税負担の増加があります。
モデルケース=税源移譲による負担変動(年額)
《夫婦と子2人の場合》
給与収入 | 税源移譲前 | 税源移譲後 | 負担増減額 (a−b) |
||||
所得税 | 住民税 | 合計 a | 所得税 | 住民税 | 合計b | ||
300万円 | 0円 | 9,000円 | 9,000円 | 0円 | 9,000円 | 9,000円 | 0円 |
500万円 | 119,000円 | 76,000円 | 195,000円 | 59,500円 | 135,500円 | 195,000円 | 0円 |
700万円 | 263,000円 | 196,000円 | 459,000円 | 165,500円 | 293,500円 | 459,000円 | 0円 |
*夫婦と子2人の場合、子のうち1人が特定扶養親族に該当するものとしています。
*一定の社会保険料が控除されるものとして計算しています。
*実際の負担増減額には、平成19年から定率減税が廃止される等の影響があります。
2.その他税制改正
@定率減税の廃止
平成11年度から、景気対策のために暫定的な税負担の軽減措置として
導入されていた定率減税(改正前:所得税税額の10%減額、12.5万円を限
度、住民税税額の7.5%減額、2万円を限度)が、所得税は平成19年1月
分、住民税は平成19年6月分から廃止されます。
A 住民税の老年者非課税措置の廃止に伴う経過措置。
平成17年1月1日現在、65歳以上の方(昭和15年1月2日以前に
生まれた方)で、前年の合計所得金額が125万円以下の方は、平成17年
度まで住民税が非課税でしたが、年齢に関わらず公平に負担を分かち合う
という観点から、この措置が平成18年度から廃止され、現役世代と同様
の制度が適用されています。
ただし、急激な税負担を緩和するため経過措置がとられ、18年度は税
額の3分の2を減額、19年度は税額の3分の1が減額されます。
B 個人住民税における調整控除
個人住民税において、所得税と個人住民税の人的控除額に基因する負担
増を調整するため、新たな控除が創設されました。
所得税と個人住民税では基礎控除や扶養控除等の人的控除に差があるた
め、同じ収入でも、個人住民税の課税所得金額が大きくなります。個人住
民税の税率を5%から10%引き上げた場合、所得税で税率を調整しても
なお、人的控除額の差の5%(2%・3%)分だけ税負担が増えてしまいま
す。これを調整するため住民税から税額控除を行うこととされました。
《参考資料》
今回の税制改正では、定率減税が廃止されることなど別の要因による税
負担の増加があるため、あらかじめ納税者の理解を得る必要があるとして、
県税事務所から各法人様宛に「住民税広報リーフレット」が送付されまし
た。その内容紹介を兼ねて参考資料としました。
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