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経営
転ばぬ先の知恵
第6回 経営計画と予算実績比較
― Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Act(改善)成功のサイクル−
所長 木村哲三
目的地の定まらない船が海上を漂うように、目標の決まらない経営は組
織としての方向が定まりません。
経営トップは自社の存在意義とKFS(成功要因)を押さえ、置かれた
環境を把握し、経営の方向を差し示さなくてはなりません。
方向が定まったなら、次にはそこに到達するための階段の設計が必要で
す。経営計画の策定です。では、経営計画はどのように作成したらよいの
でしょうか。闇雲に目標売上を掲げるだけでは、役立つ経営計画は作れま
せん。
経営計画はその期間より、短期(1年)経営計画と中期(一般に5年程
度)経営計画に分けられます。中期経営計画を策定し、それを1年ごとに
ブレイクダウンして短期経営計画が作られます。逆に短期経営計画を作り、
その延長として中期経営計画を作り、以下で取り上げる制約条件を確認し、
制約条件打開のタイミングと投資の経済性を計算することもできます。
経営計画の作成はまず、自分の会社の制約条件の把握から始めます。制
約条件としては、生産能力、投資可能現預金等が挙げられます。必要なス
キルを備えた従業員確保が難しい場合などは、従業員数も制約条件となり
ます。
これらの制約条件で、一番最初に限界となるものが、第一順位の制約条件
となります。
第一順位の制約条件の下で、可能な売上高を求めます。それ以上の売上
高を求める場合には、制約条件の壁を破ることが必要です。生産能力の拡
大のための投資や、そのための借入計画等が必要です。新たな投資の経済
性計算で投資の可否を検討します。
経営計画の作成に当たって、制約条件と可能売上高を確認したら、必要
利益から計画作成に入ります。必要利益は最低限、借入返済額を賄える額
です。もちろん、必要な役員報酬は費用額に計上されています。
必要利益額が決まると、CVP分析の利用により、簡単に必要売上高が
計算できます。CVP分析では、費用が売上高に比例して動く変動費と売
上高に影響されない固定費とに区分されます。必要利益額に固定費を加え
た額を限界利益率で割ると必要売上高が求められます。
経営計画は損益計算書を中心に作成されます。ただし、会社の資金繰り
が行き詰まることは、会社が成り立たないことですから避けなくてはなり
ません。経営計画ではキャッシュフロー計算書も必ず作成し、どの段階で
もキャッシュがショートしないように注意が必要です。ショートしそうな
計画は、作成段階で計画の修正が必要です。
中期経営計画の場合には制約条件を破るための投資額や新たな借入額も
計画に含めます。経営者の希望成長率も加味されます。また、中期経営計
画では、貸借対照表も作成し借入残や固定資産の額の把握に役立てます。
中期経営計画のブレイクダウンにより作成するか、直接作成した短期経
営計画を予算といいます。この予算と実績を毎月比較して、目標と実際の
差異を把握します。
予算実績差異は、科目毎に捉え、金額差異と比率差異に分けて分析しま
す。分析結果から問題点を押さえ解決策を考えます。対策は差異金額の大
きい順に実施します。
実施した対策が効果のない場合には、再度検討し、問題解決を図ります。
予算実績差異比較をしながら、同時に、次期の経営計画の作成も行いま
す。
経営計画作成、予算実績比較、差異分析、問題改善のPlan(計画)Do
(実行)Check(評価)Act(改善)のサイクルを着実に実施し、経営者の
夢の実現を図ります。
木村会計のオリジナル会計ソフト「まるごと経理部」の予算実績比較シ
ステムを木村会計のお客様にはお使いいただいております。近々、中期経
営計画作成システムも実装いたします。担当がサポートいたしますのでお
役立て下さい。
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