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税  務

       転ばぬ先の知恵     第1回 消費税

         −事業開始時と事業承継時の節税−

                             所長 木村哲三

 ビジネスは各ステージで、リスクが待ちかまえています。経営の問題、会計の

問題、税務の問題等、様々です。経営総合アドバイザーとして、数多くの会社と

お付き合いさせていただき、その間に現場で出会った問題とその解決策について、

一般論として役立つ知識と知恵を取り上げていきたいと思います。毎回テーマを

決めて、知って役立つ知識と知恵のシリーズとします。


T 事業を始めたら消費税の届け出に気をつけよう


1 簡易課税選択の届け出を忘れない

 青色申告や事業開始の届け出を滞りなく行い、事業のスタートを切った時、消

費税にも注意が必要です。

 株式会社を除き、最初の2年間は免税業者ですから、3年目から注意すればい

いと考えがちです。しかし、3年目では遅いことがあります。簡易課税の届け出

です。2年度の内に届け出をしておかないと、3年目の課税期間が原則課税にな

ってしまいます。付加価値の大きな会社では、簡易課税の方が得ですので、払わ

なくてよい税金を払うことになります。

 株式会社の場合には、初年度から課税業者ですから、初年度中の簡易か原則か

の有利不利判断が必要です。

 簡易課税を選択すると選択時から2年間は原則課税に戻れませんので、2年分

の消費税のシミュレーションが必要です。

 <免税点売上は1千万円以下  簡易課税制度適用売上高は基準期間に5千

万円以下の売上 「消費税簡易課税選択届出書」>


2 課税事業者の選択が有利なこともある

 免税事業者でも、課税事業者になった方が有利な場合があります。課税売上よ

りも課税仕入れが大きい場合です。この場合には、消費税が還付になります。こ

ういった場合には、基準期間(前々年)の売上が免税点以下でも、課税事業者の

選択の届け出を出して、課税事業者になった方が有利です。届け出は、課税事業

者となる予定の年度の前年度中に提出します。

 課税事業者を選択すると選択時から2年間は免税事業者に戻れませんので、2

年分の消費税のシミュレーションが必要です。

 「消費税課税事業者届出書」と「消費税課税事業者選択届出書」は間違いやす

いですから、注意が必要です。前者は出さなくても特にペナルティーはありませ

ん。


U 消費税が得する事業の引継方法


 個人の事業者には、法人にはない有利な事業承継のタイミングがあります。相

続で父親の事業を受け継いだご子息は、父親の売上高を基準期間の売上高として

計算します。売上が常時千万円を超える事業では、ご子息は当然事業を受け継い

だ年から課税事業者として課税されます。


 これに対して、父親が健在なときに事業を引き継いだご子息は、自分の2年前

の売上高が基準期間の売上高になります。ご子息が父親の事業の専従者として勤

めていれば、給与所得者ですので、基準期間の売上はありません。ご子息は引き

継いで2年間は免税事業者となり、消費税を納めなくていいわけです。こういっ

た方法で、消費税を大きくセーブできる場合もあります。     20041025
                              


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