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The Limit
of The Sky No.99 Page 3
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税 務
転ばぬ先の知恵 第1回 消費税
−事業開始時と事業承継時の節税−
所長 木村哲三
ビジネスは各ステージで、リスクが待ちかまえています。経営の問題、会計の
問題、税務の問題等、様々です。経営総合アドバイザーとして、数多くの会社と
お付き合いさせていただき、その間に現場で出会った問題とその解決策について、
一般論として役立つ知識と知恵を取り上げていきたいと思います。毎回テーマを
決めて、知って役立つ知識と知恵のシリーズとします。
T 事業を始めたら消費税の届け出に気をつけよう
1 簡易課税選択の届け出を忘れない
青色申告や事業開始の届け出を滞りなく行い、事業のスタートを切った時、消
費税にも注意が必要です。
株式会社を除き、最初の2年間は免税業者ですから、3年目から注意すればい
いと考えがちです。しかし、3年目では遅いことがあります。簡易課税の届け出
です。2年度の内に届け出をしておかないと、3年目の課税期間が原則課税にな
ってしまいます。付加価値の大きな会社では、簡易課税の方が得ですので、払わ
なくてよい税金を払うことになります。
株式会社の場合には、初年度から課税業者ですから、初年度中の簡易か原則か
の有利不利判断が必要です。
簡易課税を選択すると選択時から2年間は原則課税に戻れませんので、2年分
の消費税のシミュレーションが必要です。
<免税点売上は1千万円以下 簡易課税制度適用売上高は基準期間に5千
万円以下の売上 「消費税簡易課税選択届出書」>
2 課税事業者の選択が有利なこともある
免税事業者でも、課税事業者になった方が有利な場合があります。課税売上よ
りも課税仕入れが大きい場合です。この場合には、消費税が還付になります。こ
ういった場合には、基準期間(前々年)の売上が免税点以下でも、課税事業者の
選択の届け出を出して、課税事業者になった方が有利です。届け出は、課税事業
者となる予定の年度の前年度中に提出します。
課税事業者を選択すると選択時から2年間は免税事業者に戻れませんので、2
年分の消費税のシミュレーションが必要です。
「消費税課税事業者届出書」と「消費税課税事業者選択届出書」は間違いやす
いですから、注意が必要です。前者は出さなくても特にペナルティーはありませ
ん。
U 消費税が得する事業の引継方法
個人の事業者には、法人にはない有利な事業承継のタイミングがあります。相
続で父親の事業を受け継いだご子息は、父親の売上高を基準期間の売上高として
計算します。売上が常時千万円を超える事業では、ご子息は当然事業を受け継い
だ年から課税事業者として課税されます。
これに対して、父親が健在なときに事業を引き継いだご子息は、自分の2年前
の売上高が基準期間の売上高になります。ご子息が父親の事業の専従者として勤
めていれば、給与所得者ですので、基準期間の売上はありません。ご子息は引き
継いで2年間は免税事業者となり、消費税を納めなくていいわけです。こういっ
た方法で、消費税を大きくセーブできる場合もあります。 20041025
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