Aさん
山中湖畔の別荘敷地、妻を亡くしてもう建築す
る気がなくなってしまった。どのくらいで売れ
ますかねえ。
不動産屋
即決していただければ、特別に250万円で買い
ますよ。
Aさん
おいおい! 250万円って、二十分の一はしんど
いな。
不動産屋
がっかりさせて、すいません。でも、そこの土
地は宅地並み課税に変更されており、毎年の固
定資産税の支払いは、かえって高くなっている
のではないですか。
Aさん
確かに5年前から急に上がったよ。
不動産屋
ならば、今売れば結果的には節税になると、お
勧めします。
Aさん
どうしてかね?
この物件は、地価の暴落に加えて、固定資産税の評価は宅地並み課
税に変更されたのが二重の痛手となっています。山林として登記して
いるのに、周りに家が建ち並んだために、宅地並みに変更されること
があります。固定資産税の課税は現況主義です。
一部の地域では土地の取引相場の下落が大き過ぎ、固定資産税の評
価額が相場を上回ってしまう逆転現象もみられます。固定資産税の評
価額は年々少しずつしか変わらないからです。毎年の税金がかかる上、
空き地のままで子供らに引き継がせると、いずれ相続税の負担が増え
ることにもなりかねません。早めの売却が良い選択肢となるわけです。
〈ケースの解説 1〉
〈ケースの解説 2〉
値下がり土地は不動産鑑定士に相談
別荘地やリゾートマンションなどは、バブル崩壊後の値下がりが
厳しい上、スキーブームの衰えなどもあって、売りたくても買い手が
つかないこともあります。
ところが、相続の際の評価は相続税評価
額に従うのが原則です。
実際には取引相場が、この評価額を大幅
に下回る場合も起こりえます。
その分の税負担は、後で土地を売却
した際に大損となるかもしれません。
こうした際には、不動産鑑定士に調べてもらって、申告の際に鑑
定評価額を時価として提示するという策を試しましょう。
認められる
場合があります。
税務のプロが語る
「知っ得話」
相続税路線価が実際の時価を大きく上回った場合に関連して、国税庁は下記
のような事務連絡をしています。
「財産評価通達の評価額以外は受け付けないなどということがないよう留意す
る」「財産評価通達の評価額以外の時価について適正な判断を行うこと」です。
上記の話については、この事務連絡が「助け船」になると期待できます。
第2章
〈ケース〉
会社役員のAさんは、退職後に暮らそうと、奥様の実家
にも近い山中湖畔の別荘敷地 250 坪を購入しました。当時の購入価
格は 5000 万円。ところが最近、奥様のBさんが急遽交通事故で亡く
なってしまいました。やむなく売却することにして不動産屋に相談
しました。
山中湖畔の値下がり別荘地の売却
別荘地編
12
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