延納額が 100 万円以下で、かつ延納期間が 3 年以下である場合には、
担保は必要ありません。上記の
「工場財団」
というのは所有する工場の
土地や建物、機械、賃借権、工業所有権などを一括し、その上に抵当
権を設定する制度。
「鉄道財団」
は同様に鉄道経営に関する一括の抵当
権を示します。
担保関係書類を期限までに出せない場合は、延期届出書の提出によ
り、1 回につき 3 カ月まで、最長 6 カ月までその書類の提出期限を延期
できます。
最初から、先延ばししても納税現金を手当てできる見込みがないと
考えられる場合は、
物納(第3章ー 5
を参照
)
の手続きを申請すること
になります。
また、延納が許可された後に、延納条件を履行することが困難にな
った場合には、申告期限から10 年以内に限り、分割納付期限がまだ到
来していない分について延納から物納へ変更できます。
〈担保に関する注意事項〉
延納額が 100 万円以下は担保不要
〈延納すら困難となった場合〉
物納に移行する道もあります
〈担保として提供できる財産〉以下の6種の財産に限られる
延納には利子が上乗せされる
延納を選ぶと、利子が上乗せされます。
2015年以降は一時的に市場の
低金利を背景に特例の低い利率が適用されています。
それでも10年以上
の長期の延納では利率も上がるかもしれず、負担は大きくなってきます。
また、税務当局に認められるように延納を申請するには、手間もノウハウ
も要ります。
税務のプロなどから的確な助言を受けるよう、お薦めします。
税務のプロが語る
「知っ得話」
第3章
〈ケース〉
相続した遺産に現金や預貯金がほとんどなく、売却しにく
い不動産や非公開の株式だけでした。相続税を計算したら、やはり納税
に必要な現金が足りません。どうしましょうか…。そんな場合、税務当
局に認められるハードルは高いですが、「延納」という方法があります。
現金不足での税延納は容易でない
相続税の延納
4
〈延納とは〉相続財産ではなく全財産を調べられて許可か否か判断
〈延納を認めてもらう条件〉払える現金はすべて納税に差し出す
自分の全財産を調べてみて納税の現金が不足していたとします。そ
の場合でも延納を申し込むには、以下の要件を全て満たすことが要請
されます。
延納申請書に担保として提供する財産の関係書類を添付し、納税期限
までに税務署に申請します。以下の事項を記すことが求められます。
1. 相続税額が10万円を超えていること
2. 一括納付が困難な理由があり、延納額がその困難な額を超えな
いこと
3.延納する税額および利子税(金利)の額に相当する担保を提供す
ること
4. 相続税の納税期限までに延納申請書を提出すること
1. 国債及び地方債
2. 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
3.土地
4. 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
5. 工場財団、鉄道財団など
(下記を参照)
6. 税務署長が確実と認める保証人の保証
1. 期限までに現金で納税することが困難な理由とその金額
2. どのくらいの期間にわたって延納したいのか
3.
分割払いを含む際は、その総額と1回当たりの支払額とスケジュール
4. その他の必要事項
〈延納の申請手続き〉担保となることを明示する書類が必須
延納とは、納付期限を最長20年まで延期して分割などで納付するこ
とをいいます。延納が認められる限度金額は、相続財産だけでなく、
あなたが保有している全財産を含めて判断されます。公社債、上場株
式、解約しても影響の少ない保険金等は換金することで、納付が可能
なものとされます。
3
い
ざ
相
続
に
直
面
緊
急
時
の
ノ
ウ
ハ
ウ
と
税
務
対
策