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で、自分の 1500 万円を残し、4000 万円全額を肩代わり
してもらった場合は、1500 万円分を贈与税の計算対象にします。
上記
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と同様に 1500 万円持っていて、直系尊属ではなく兄弟などに
4000万円全額を肩代わりしてもらう場合、以下のように税額を算出します。
友人や親戚などから肩代わりしてもらった場合は「一般贈与財産」
に該当し「一般税率」を適用します。特例税率と一般税率は
贈与税の速
算表(第5章 ー 5)
をご参照ください。
1500万円 - 110万円(基礎控除)= 1390万円
1390万円 × 45%(一般税率)- 175万円(控除額)
= 450万5000円
(贈与税額)
もらった側が払う税額が2割強増えます。
肩代わりではなく子に貸すという手法
子の借金を一時的に肩代わりしてあげるのなら、贈与ではなく親子間の貸
し借りにする方法もあります。
親子で金銭消費貸借契約書を作成するので
す。
厳しいようですが、子の側に財産があっても、贈与税はかかりません。
契約書通りの日付、金額、返済方法で、できれば利息も付けて返済すること
になります。
親子の口座間での返済にすれば申告の際に明瞭です。この契
約書は「課税文書」となり、契約書ごとに借入金額に応じた印紙も必要です。
ただし、途中で子が親への借金返済に窮して、残額を帳消しにしてあげた
際は、その分に贈与税が課せられます
( 第 6 章 ー 8
を参照
)
。
もし万が一、返済途中で相続になった場合は、残りの借金部分は遺産に
加えられ、子にとっては相続税の計算の対象になります。
税務のプロが語る
「知っ得話」
4. 子の財産を残し、4000 万円全額を親が肩代わりしてあげる場合
5. 自分の財産を残し、兄弟が 4000 万円全額を肩代わりする場合
〈親子など直系親族ではない場合の贈与税は高い〉
第3章
〈ケース〉
A さんの息子が脱サラして開業したのですが、5 年頑張
っても借金が増えるばかりで、店をたたむことにしました。結局
4000 万円の借金を抱え、このままでは息子一家は破産して信用を失
い、再就職も難しくなりそうです。Aさんは借金の肩代わりをして
やるつもりです。ご相談を受け、税務のプロとして贈与税の有無の
分かれ道などを説明しました。
子の借金の肩代わりは課税か否か
借金の肩代わりに伴う贈与税
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1. 子に財産がなく借金だけの場合は肩代わりでの贈与税はなし
3.
子が自分の財産で返せるだけ返し、残りを親が肩代わりしてあげる場合
2. 子が借金を十分返せる資産持ちなら課税 ー もらう側に贈与税
借金を全額返済するだけの預貯金や不動産などがあるにもかかわら
ず、親に借金を肩代わりしてもらった場合は、もらう側の人に贈与税が
かかります。
ご相談を受けたケースでは直系尊属(父母、祖父母)からの贈与ですの
で、「特定贈与財産」に該当し「特例税率」により贈与税を計算します。
4000万円 - 110万円(基礎控除)= 3890万円
3890万円 × 50%(特例税率)- 415万円(控除額)
= 1530万円
(贈与税額)
1500万円 -110万円(基礎控除)= 1390万円
1390万円 × 40%(特例税率)- 190万円(控除額)
= 366万
(贈与税額)
借金のある人の財産が本当になくて、借金の返済が不可能な場合には、
親から借金返済分までのお金をもらっても贈与税は課税されません。
預貯金だけでなく不動産、株、車やその他の財産がある場合は財産
を処分し返済に充てた上で、親に肩代わりしてもらう金額を計算しま
す。仮に1500万円を持っていた場合、肩代わり分の2500万円は課税さ
れません。
親子の間でも基礎控除110万円を超えてお金をあげると、原則的に贈
与税が課税されます。ただし、こうした借金が絡むケースでは、もら
う側の借金と財産の額に応じて課税と非課税に分かれます。
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い
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