その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受ける必要が
あります。
未成年者に代わって特別代理人が遺産の分割協議を行います。
相続人の誰かが行方不明の場合には「失踪宣言」をしてもらうか、そ
こまで至らなくても家庭裁判所に申し立てて、不在者のための財産管
理人を選任する手続きが要請されます。分割協議には全員の合意が必
須だからです。
〈相続人のうち未成年者がいる場合〉
特別代理人が代わりに協議
〈相続人のうち行方不明者がいる場合〉
「失踪宣言」か管理人を選任
協議分裂でも期限内納税は必須
遺産分割協議が揉めることは、よくあります。
問題は、遺産の行く
先が決まらず、相続人の誰も相続税を支払おうとしない状況です。
協議が不成立になっていても、相続人側は期限内に相続税を納税
しなければなりません。
法律上の義務です。納税額は法定相続分
で分割したとして算出します。
税務のプロが語る
「知っ得話」
第3章
民法では相続人の遺産分割協議により、自由に遺産分割すること
を認めています。もしも亡くなった方の事業の後継者となる人がす
べての遺産を独占するとしても、他の相続人の全員が協議でその独
占に合意すれば問題はありません。この場合を含めて主な遺産の分
け方を以下に概説します。
遺産の分け方は協議で変更できる
遺産分割
7
現物分割
換価分割
共有とする分割
代償分割
〈遺産分割協議が遺言に優先〉遺言書とは違った分け方も可能
遺言書で遺産の分け方を指示されていた場合でも、別の分け方をす
ることができます。その際は相続人が遺産分割協議をして全員合意す
ることが必要です。相続人のうちの1人でも反対すれば、不成立にな
ります。
遺産の分け方には、大づかみに次の4方法が挙げられます。
財産目録の項目ごとに現物で分配する方法で一般的な方法です。
相続の割合と一致しない場合には、これに加えて「代償分割」や「換
価分割など」によって各相続人に納得のいくように分割します。
相続した財産を売却して金銭に換えた上で、相続人に分割する
方法です。譲渡所得が出る時は、譲渡所得税が課せられる可能性
があります。
1つの土地などの特定の財産を無理に分けずに、複数の相続人で
各々の持ち分を決めて登記し直す方式です。公平な分割が可能で
す。しかし、共有で取得した財産は、単独での利用や処分が自由
にできないなど権利関係が複雑になり薦められません(
第3章 ー
8
参照 )。
特定の相続人が、自分の相続分を超えて相続財産を取得する代わ
りに、他の相続人に現金等で不足分を支払うという方法です(詳し
くは
第3章 ー 9
参照 )。
3
い
ざ
相
続
に
直
面
緊
急
時
の
ノ
ウ
ハ
ウ
と
税
務
対
策