〈このケースでの相続財産の概要〉
1. 相続対策をしなかった場合の相続税
いずれ1人息子へ引き継がせると想定すると、1億8500万円から基礎
控除額を差し引いた額が相続税計算の対象になります。基礎控除額は
今回の場合は、
「借家権割合」と「賃貸割合」の評価減をして計算します。
固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合
で求め
ます。2 億円のマンションですが、固定資産税評価額は 7 割前後と見込
むと、1 億 4000 万円。相続の際の建物のおおよその評価額は以下に。
相続税計算の対象は
相続資産の評価額を計算し、借金を差し引いて相続財産を求めると
これに税率を乗じて控除額を差し引くと相続税が算出できます。
相続財産が控除額より小さくなり、相続税額は出ません。
このケースの相続税額はなしで、税金が 4000 万円以上お得です。
3000万円 + 600万円 ×法定相続人(息子1人)= 3600万円
1億4000万円 ー 1億4000万円 ×30% ×75% ≒ 1億850万円
1億8500万円
ー
3600万円 (基礎控除額)= 1億4900万円
4600万円(土地)+ 1億850万円(建物)+ 3000万円(預金)= 1億8450万円
1億8450万円 ー 1億5000万円
(借金残高)= 3450万円
1億4900万円 × 40%(税率)
ー1700万円(控除額)= 4260万円(相続税額)
3450万円
(相続財産)
<
3600万円(基礎控除額)
4260万円(対策前の税)ー 0万円(対策後の税)= 節税額4260万円
〈相続対策による課税価格の計算〉
〈相続対策による新築マンションの評価〉
子供側の借金による事業では不可
2. 相続対策をした場合の相続税 ー 賃貸マンションを建てるプラン
古家を壊して 2 億円で 4 階建てのマンションを建てるとします。床面積
は全階 100㎡と仮定します。1階から 3 階は貸家、4 階を自宅にして息子
に住んでもらいます。手持ちから 5000 万円出し、銀行から 1 億 5000 万
円借りて建設費にあてます。
貸家を建てる場合、大幅な評価減を受けられる小規模宅地の特例(次
項参照)が受けられます。自宅の使用部分と貸付部分を床面積で按分し、
評価します。この事例では土地の課税価格は約4600万円に下がります。
〈上記の相続対策による土地 330㎡の評価〉
土地330㎡で評価額約1億円(1㎡=30.3万円、路線価図より算定)古
家500万円(固定資産税評価額)と預金8000万円、合計1億8500万円
一人住まいの母親と3兄弟の子の間での相続対策の相談事例です。
3兄弟
「昨年母の了承を得て家を取り壊し、兄弟で借金して3人名義の
アパートを建てたんです。今春から母は高齢で介護施設に移ったの
で、その部屋も貸しています。相続税対策になっているでしょうか」
税理士
「うーむ。対策にはなりませんね。アパートも相続財産にならず、
相続する側の人の借金では差し引くことはできません。小規模宅地の
特例条件の一つに、『相続をさせる人かその人と生計が同じ親族が、
事業か不動産の賃貸として利用』という要件があるからです」
3兄弟
「そ、そんな。なんとかなりませんか」
税理士
「節税効果に差はありますが、お母さんにアパートを売って、お
母さんのアパートとするか、お母さんと生計を同じにするかですね」
税務のプロが語る
「知っ得話」
第1章
古くて小さい我が家にも相続税が!
1
相続大増税の現実編
〈ケース〉
都内西日暮里駅近くにある 330㎡の土地と、そこに建つ
父の代からの古家に独り住まいするAさん。財産を 1 人息子に遺し
たいといいます。
1
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