ワイド版
「知っ得話」
相続向け信託の利用
信託とは、自分の財産を信頼できる人や信託銀行など「受託者」に預け、
自分の代わりに財産の管理や処分を行ってもらう仕組み(
第4章 ー17
参照)です。財産を持つ「委託者」が存命中にお金や土地を信託契約や
遺言によって受託者に移します。銀行などの受託者は委託者が設定し
た信託目的に従って、預かった財産を配偶者や子などの「受益者」のた
めに用います。相続人へスムーズに遺産を渡せるなどがメリットです。
第4章
相続信託
相続向け信託は、信託銀行が幅広く資金を集めて営利目的で活用する
「商事信託」ではなく、受益者のために預かる「民事信託」となります。
信託銀行は暦年贈与(
第5章 ー 5
参照)や教育資金一括贈与、結婚・子育
て支援などに関する信託商品を提供しています。資産家などの委託者と
信託契約を結び、預かった財産を子や孫などの受益者に専門知識を生かし
非課税枠を利用しながら渡します。相続税や贈与税は受益者が納めます。
〈 信託銀行への信託 〉
贈与の非課税枠を生かすタイプも
資産の預け先は慎重に選ぼう
〈 親族なども信託の受託人になれる 〉
信託銀行に委託すれば、それなりの手数料を取られます。友人などの個人
や、子など親族を受託者にする「家族信託」もできます(
第4章 ー 17
参照)。
ただし預けた財産を勝手に使われないよう、信託の受託者は、銀行であっ
ても家族や専門家であっても、
信頼できる者を慎重に選ぶ
のが必須です。
相続では遺産分割協議の成立後でないと、亡くなった方の銀行口座
からお金を引き出せません。しかし、委託者が存命中に受取人を決め
て信託銀行にお金を預けておけば、すぐに引き出せます。さらに遺言
代用信託では遺言通りにお金の渡し方を指定できます。残された子が
幼い場合は、毎月20万円など一定額を支給し、成人後に残額を一括で
渡す手法もできます。
※民法改正により2019年7月以降、遺産分割協議前でも仮払ができ
るようになりました。
〈 信託のメリット〉
子が成人するまで毎月支給するタイプも