第5章
両親や祖父母等から子・孫に教育資金を一括して贈与する場合に、
子・孫ごとに 1500 万円までを非課税(学校等以外のものに支払われ
る金額は 500 万円を限度)にする「教育資金一括贈与」非課税の制度
が始まりました。金融機関の教育資金用口座に受け取る人の名義で
預託することが必要です。対象は意外と広くて使い勝手があります。
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ピアノ購入にも使える教育資金贈与
教育資金贈与での非課税枠
上記で使用する物品の購入費も含まれます。また通学定期券代や留
学渡航費、学校等に入学・転入学・編入学する際の交通費も含まれます。
① 受験料や入学金(実際に入学しない学校への支払含む)は
○
、募集
要項や願書は
×
、② 保育所の延長保育や一時預かり費用は
○
、③ 自
動車学校の費用は
○
① ランドセルや教科書代の購入代金は、学校から事前に書面が出て
いてそれに基づいて購入すれば
○
、② 健康診断は
○
だが予防接種は
×
、③ 部活動費や合宿費用、謝恩会費用は
○
、下宿代は
×、
④PTA
会費は
○
だが同窓会費は
×
、⑤ 学校への寄付金や奨学金の返済は
×
<
令和3年度税制改正による変更>
令和3年度税制改正で教育資金の一括贈与の非課税措置は令
和5年3月31日まで延長された他、贈与者死亡時の残高が原則
として相続税の課税対象となりました。
令和3年3月31日までに契約完了したものは、旧制度が適用さ
れますが、令和3年4月1日以降に契約したものは下記の点が
変更になりますので注意が必要です。
・贈与者の死亡までの年数に関わらず管理残額に相続税が課税
されます。
・相続人でない孫の場合は相続税額の2割加算の対象となりま
す。
2. 学校等以外に対して直接支払われる金銭で社会通念上相当と認めら
れるもの ー 500 万円まで
以下に事例で、この非課税制度の枠内(
○
)か、枠外(
×
)か説明します
1. 学校等の教育本体での費用等では
2. 学校等の教育に付随する費用等では
贈与対象者が多くいれば、1500万円 × 対象人数分の金額まで合法
的に相続税の課税財産を減らすことができます(下記の学校等)。
●
入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学試験検定料など
●
指定学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等の教育に伴う費用
学習塾や水泳教室の指導者などに直接支払われるもの=①教育
(学習塾、そろばんなど)に関する指導料や施設の使用料など、②ス
ポーツ(水泳、野球など)、③文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画
など)、④その他 教養の向上のための活動に係る指導への対価など
〈教育資金一括贈与の非課税活用のメリット〉
1. 学校等に対して直接支払われる金銭 ー 1500万円まで
〈 学校等とは 〉
外国の教育施設で外国にあるもの
外国の教育施設で国内にあるもの
学校教育法上の幼稚園、小・中・高等学校、特別支援学校、高等専
門学校、大学、大学院、専修学校、各種学校、認定こども園または保育
所など。
その国の学校教育制度に位置付けられている学校、日本人学校、私
立在外教育施設も含まれます。
インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたも
の)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国
大学の日本校、国際連合大学も含まれます。
ただし、教育資金は、贈与対象者が 30 歳までに使い切れなかった等
の場合には贈与税が課せられます。
以下に、非課税となる主な項目を挙げてみましょう。
5
す
ぐ
役
立
つ
相
続
策
と
プ
チ
対
策