事実婚(内縁)の場合、現在の日本の法律では内縁の妻(夫)には相
続権はありません。事実婚のパートナーが、特別縁故者として申し出
て財産の分与を得られる可能性もありますが、裁判所の判断で決めら
れてしまいます。財産を渡したい場合には遺言書で明記することが有
効です。
慈善団体などへの寄付は税で優遇
公益法人等への寄付については、法律上、優遇措置が施されてい
ます。相続で財産をもらった人が申告期限までに国や地方公共団
体、特定の公益法人等や認定NPO(非営利団体)などに贈与した場
合には、その額への相続税はかからないという制度です。
不動産な
どを遺贈する場合には所得税が絡んできますが、一定条件と手続き
を経てこの所得税も非課税となります。遺言書に記し、「 遺言執行
者」を決めて託しておくことが望ましいです。
財産の最後の使い道と
して有意義であるともいえましょう。
ただし、怪しげな偽装団体が遺産を奪うなどの悪用防止のため、
税法の伝家の宝刀「…税の負担が不当に減少する結果となると認
められる場合を除き」との条件が付されています。寄付に際しては
慎重に検討しましょう。
税務のプロが語る
「知っ得話」
〈内縁の人には相続権がない〉遺言書での明記が肝心
家庭裁判所は「相続財産管理人」の選任の公告と、債権者・受
遺者を確認するための公告をします。
→ 次に相続財産管財人が相続人の捜索をします。
→相続人不在の確定後、「特別縁故者」への財産の引き渡しを
します。
→ 特別縁故者がいない場合や、債権者・受遺者に支払ったり
特別縁故者に分与した残りがあるときは、その財産は国庫
に帰属します。
〈行き場のない遺産の扱いの流れ〉最後は国庫に納まる
〈特別縁故者とは〉内縁の妻や介護者などが自分で名乗り出る
〈養子縁組という手法もある〉
相続人がおらず遺言書もない場合、概ね次の流れで手続が進みます。
上記の「特別縁故者」とは、亡くなった方と生前生計を同じくしてい
た方や同居人、内縁の妻、看護や介護に努めた方などで、故人のため
に貢献のあった人です。注意すべき点は、特別縁故者は、相続財産管
財人が見つけ出してくれるものではないことです。特別縁故者となる
可能性のある人が自分で名乗り出て、請求をしなければなりません。
また、財産の分与引き渡しを認めるかどうか、それも全部分与するの
か一部だけの分与になるのかについても、家庭裁判所の裁量に委ねら
れています。
自分の財産を引き継いで欲しい人がいる場合には、その人の同意を
得て養子縁組をする方法もあります。養子は実子と同様に相続権を持
ちます。
第6章
天涯孤独で親類縁者がいない方が亡くなった場合、行き場を失っ
た財産は最終的には国のものになります。しかし、遺言書があれば
遺言通りに財産をどなたかに残せます。内縁の妻や世話になった人
に引き渡したり、社会貢献団体や文化団体に寄付したりすることも
できます。
天涯孤独の人の財産はどこへ行く
特別縁故者と縁故者なし
13
6
相
続
税
の
仕
組
み
の
勘
所