税 務
倒産防止共済(経営セーフティー共済)
財務省による、全国の景気判断が“緩やかに回復しつつある”として、1年半ぶりに上方修正されました。半導体不足の緩和により自動車などの生産活動が持ち直していることや、新型コロナの5類移行で飲食・宿泊を中心に客足が回復している事が背景と考えられます。旅館・ホテル・飲食店の景気の急回復に作業が追い付かないとの景気動向調査の結果も出ています。
このような急速な景気回復の中、もしもの時に備えながら節税対策にもなるセーフティー共済をご紹介します。
1.概要
取引先が突然倒産・・・そんなもしもに備える安心の経営セーフティーネット共済。
経営セーフティー共済は、取引先事業者が倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。
(※共済金の借入れが受けられない取引先の倒産の種類もあります。)
2.ポイント
ポイント① 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債務等の額」または「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない方の金額となります。
ポイント② 取引先が倒産後、すぐに借入れできる
取引先の事業者が倒産し売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第すぐに借入れることが出来ます。
ポイント③ 掛金を損金、または必要経費に算入できるので、節税効果がある
掛金月額5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。※年払いの場合は支払金額全額の一括損金に計上されるので、譲渡所得等の高額所得が発生した場合の税金を抑えることが出来ます。
ポイント④ 解約手当金が受け取れる
共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヵ月以上納めていれば掛金全額が戻ります。(12ヵ月未満は掛け捨てになります)※解約手当金は益金(収入)になってしまうため、退職金等の大きな費用が発生する時や赤字決算を迎えそうな事業年度に解約を考えます。解約手当金を通常期に受け取ってしまうと、単に税金の先送りになってしまいます。
3.加入資格
経営セーフティー共済には、継続して1年以上事業を行っている中小企業者で、以下の加入要件のいずれかに該当する場合に加入できます。
業 種 | 資本金の額 | 常時使用する従業員数 |
製造業・建設業・運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
4.加入窓口
委 託 団 体 | : | 商工会・商工会議所・中小企業団体中央会・中小企業の組合・損害保険ジャパン株式会社 |
金融機関の本店 | : | 都市銀行・信託銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合・商工組合中央金庫 |
注意事項:ご加入の際は、自社におけるメリットとデメリットをご確認の上ご契約ください。また、ご加入された場合には、確定申告や決算の申告の際に提出する書類がございますので、弊社の担当者にお知らせください。