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経営計画と経営戦略

木村会計グループ 代表 木村 哲三

経営計画とは、経営戦略とは

企業の持続的成長に有効なものとして、経営計画と経営戦略があります。

経営計画は、経営者の夢・目標を年次の計画数字に落とし込んだものです。経営戦略は、直面する問題に集中しそれを解決するための方法を提示します。

経営計画のポイントは3 つ

経営計画のポイントは、経営者が自ら計画を作り企画部などに任せないこと、立てた計画は経済状況の変化などで変更しないこと、計画と実際のギャップが出た時こそ経営者がその差を埋めるために全力で対策を立てることの3点です。

その根底には「人間というものは、目標があるとそれに向かって努力するという不思議な動物である」という考えがあります。経営計画は社長をやる気にさせます。

まずはビジョンと目標

経営計画にわが社の未来の姿を明文化し、社員に宣言して社員全員の力を目標に向けて結集することが経営計画の第一歩です。未来の姿(ビジョン)には3つの基本があります。「どのような事業を行うか」、「事業の構造・規模をどのようにするか」、「社員の処遇をどうするか」です。どの業界でどういった仕組みでどのレベルを目指すか、社員の賃金水準・勤務形態・福利厚生をどうするかです。

経営計画の方針書と利益計画・資金運用計画・目標貸借対照表

経営計画には短期と長期の2つがあり、長期は通常5~10年、短期は1年です。経営計画は事業経営に対する社長の基本的な指針と目標、その達成のための具体策を示したものです。いかに目標を達成するかを社長が自らの意思で決定し明文化したものが方針書で必須です。方針書は、自社の将来に関するものであること、社長の姿勢を示すものであること、具体的であることが求められます。事業の経営は顧客を創造することから顧客第一主義、市場の大きさから重点主義(集中)は基本方針に必ず加えます。これに基づき事業構造を考えます。

方針書に基づき、目標利益を上げるための活動計画である「利益計画」を最初に作成します。次いでそれらの活動を行うための資金を計画する「資金運用計画」、利益計画と資金運用計画から「目標貸借対照表」が作成されます。その後は実際と目標のギャップを確認し結果により対応策を考えます。

経営計画の目標と経営戦略は違う

ここで注意すべきは、目標を戦略として捉えると対策なき目標達成の掛け声だけの結果となります。目標の前に立ちはだかる課題を解決する経営戦略が必要です。

経営戦略のポイント、基本構造と3要素(診断・基本方針・行動)

課題に対処できない企業はやっていけなくなります。その課題解決の手法が経営戦略です。よい経営戦略のポイントは、十分な根拠のある基本構造(核)をもっており、一貫した行動に直結することです。基本構造は診断、基本方針、行動の3要素からできています。

診断は状況を診断し死活的に重要な課題を的確に見極めます。方法としては、今何が起きているかを洗い出すことです。困難な課題に正面から取り組み、じっくり見つめて、その構成要素やそこに作用している要因を理解します。その課題の本質をしっかり理解するのが先決で、解決方法を考え始めるのはその後です。

基本方針は診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性を決定します。基本方針を定めることで一貫性を持って取り組めます。よい方針は「何をやるか」を示すだけでなく「なぜやるのか」「どのようにやるのか」を示します。その過程で新たな優位性を見つけることが大事です。課題の解決策は、診断結果から要素を再構成し、再検討し、類例を探し、ひたすら考えるというプロセスから浮かび上がってきます。

だから、戦略は選択ではなくゼロからデザインする目的への道を描く創造なのです。それは洞察力と創造力の産物です。

行動は、基本方針を実行するための一貫性のある一連の行動です。優先順位をつけなければ行動できません。この優先順位をつけることは何かに集中すればそれ以外を捨てることになるので一番困難な業務になります。

経営計画と経営戦略を使いこなして事業を継続成長させていきましょう。

参考文献:一倉定「経営計画・資金運用」、「経営戦略全面改訂版」、リチャード・P・イメルト「良い戦略、悪い戦略」、「戦略の要諦」

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