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税 務
所有権移転外リース取引
税経管理第10部 部長 細美 忠彰
平成19年度改正により、リース取引についての税制が改正されました。
この改正により、法人税法上のリース取引のうち、所有権移転外リース取
引について、平成20年4月1日以後に締結されるものは、金銭の貸借とさ
れるリース取引を除いて「売買取引」とされ、リース期間定額法により償却
を行うことになります。
今回は、賃借人側の処理を中心に法人税法上の取扱いを簡単に解説します。
1 所有権移転外リース取引
所有権移転外リース取引とは、平成20年4月1日以後に締結する法人税
法上のリース取引のうち、次のいずれにも該当しないものをいいます。
(1)リース期間の終了時又は中途において、そのリース取引に係る契約に
おいて定められているリース取引の目的とされている資産(以下「リース資
産」といいます。)が無償又は名目的な対価の額でそのリース取引に係る賃
借人に譲渡されるものであること。
(2)リース期間の終了時又は中途においてリース資産を著しく有利な価額
で買い取る権利が賃借人に与えられているものであること。
(3)賃借人の特別な注文によって製作される機械装置のようにリース資産
がその使用可能期間中その賃借人によってのみ使用されると見込まれるも
のであること、又は建築用足場材のようにリース資産の識別が困難であると
認められるものであること。
(4)リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの(賃借
人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限りま
す。)であること。
2 リース期間定額法
所有権移転外リース取引の契約によって、その賃借人である法人が取得し
たとみなされる「リース資産」については、リース期間定額法により償却限
度額を計算することとされました。リース期間定額法は、リース期間を償却
期間として残存価額をゼロで定額法により計算した金額が償却限度額とな
ります。
(リース期間定額法) その事業年度におけるリース (取得価額−残価保証額)× 資産のリース期間の月数 リース資産のリース期間の月数 |
※残価保証額とは、リース期間終了のときに、リース資産の処分価額が所有
権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない
場合に、その満たない部分の金額を当該取引に係る賃借人が、その賃貸人に
支払うこととされている場合における、当該保証額をいいます。
3 リース資産について賃借料として損金経理した場合
改正後税制では、すべての所有権移転外リース取引について売買があった
ものとして取り扱い、例外的な取扱いはありません。
ただし、リース資産について、賃借人が賃借料として損金経理した場合に
は、その損金経理した金額が償却費として損金経理したものとして扱われま
す。残価保証額がない場合で、賃借料がリース期間に比例して発生する場合
等、賃借料とリース期間定額法により計算される償却限度額が同額である場
合には、従来通り賃借料として処理した場合でも、別表による申告調整は不
要になります。
ただし、残価保証額がある場合や、月々の賃借料が異なるような場合で、
リース期間定額法による償却限度額と賃借料が異なることになる場合には
別表による申告調整が必要になるので、注意が必要です。
4 消費税
所有権移転外リース取引は、消費税法上も売買として取り扱われますので、
賃借人がリース資産の引渡しを受けた事業年度において、仕入税額控除を全
額一括控除することが原則となります。
新たにリース契約を締結する場合には、担当者にご確認ください。
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