税 務
相続により取得した土地が不要な場合の対応
相続で両親等が居住していた実家土地を取得した場合で、当該土地を相続人が不要の場合には、下記の区分に応じそれぞれの規定が適用されることとなります。
1. 土地の譲渡が可能な場合には、一定の要件を満たせば相続開始から3年以内の譲渡なら空家特例の適用により、土地譲渡益から3,000万円控除されます。
2. 土地の譲渡が困難な場合には、当該土地は不動産というより言わば負動産として取扱われることとなります。下記の区分に応じて対応します。
①相続土地国庫帰属制度の対象となる場合には、その後10年分の負担金を負担することを要件として当該土地を国が引き取ってくれます。ただし、全ての土地を国が引き取ってくれるわけではありません。
以下の土地は、引き取りの対象とはなりません。
- a. 建物がある土地
- b. 抵当が設定された土地
- c. 勾配が急で5m以上の崖地を含む土地
- d. 隣地との境界が不明確な土地
- e. 有害物質で汚染されている土地
- f. 地中埋設物が埋まっている土地
- g. 通行権等の権利が設定されている土地
- h. その他一定の状況に該当する土地
このように、国に土地を引き取ってもらうのは簡単ではないと言わざるを得ません。
②相続土地国庫帰属制度の適用を受けない場合で、そのまま相続人が所有し続ける場合には、言うまでもなくそれ以後の租税公課や管理費用等は全て相続人の自己負担となります。
最後に、相続放棄という選択肢も考えられますが、そもそも相続放棄は不要な不動産だけを選択して放棄することはできません。相続放棄する際には他の相続財産の価値を踏まえてトータルとして考慮する必要があります。