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労  務

子育ての価値観をアップデート

税経管理第10部 米山

大手企業で男性育休の取得率公表が義務化されてから1年が経ち、厚生労働省によると男性育休取得率は13.97%(令和3年)から17.1%(令和4年)に上昇するなど、浸透が徐々に進んでいます。しかし、取得日数の実態を見ると、2週間未満の人が3割を超えており、「妻の負担軽減や仕事復帰の後押し」という育休本来の意義を果たせているか疑問の残る結果になりました。

正社員800人を対象に行った「育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)」の調査では、育休の取得日数の実態、育休への満足度、育児と退職検討の関連性などが明かになりました。

●「育児退職」を経験した子どもがいる女性は5人に1人、男性も4割弱が退職を経 験・検討

子どもがいる女性のうち、育児との兼ね合いで退職する「育児退職」を経験した人は19.3%となり、また、「育児退職」を検討したことがある人は24.3%と、合わせて4割強が育児を理由に退職を経験・検討したことがあるとわかりました。育休経験のある男性でも39.5%の人が退職を経験・検討しており、男女問わず、育児と仕事の両立の難しさがうかがえる結果となりました。今後、企業は離職防止という観点で、育児をしながら働きやすい職場環境を整えることが求められます。

●育休取得日数は男性と女性で大きな差

男性の育休取得日数は「 1か月未満」が半数。内訳をみると、「 5日以内」は18.5%、 「 6日~2週間未満」は14.5%で、女性の「半年以上」取得した割合85%と比較して男女の取得期間には大きな差が生じました。

●育休のハードルとして最も回答が多かったのが「収入減少」。世帯年収「 800万以上」から育休取得率は7割を超える

育休取得のハードルとして最も回答が多かったのは「収入減少」の19.4%。世帯年収別に育休取得率をみると、「 800万円以上」からは取得率7割を超え、世帯年収が高いほど育休取得のハードルが下がりやすいことが考えられます。

給付金や助成制度の周知は、収入面がハードルになっている人にとって、育休の取得がしやすい社会の醸成へ一定の効果があることがうかがえます。

育児休業等の期間中について、申し出をすることにより被保険者・事業主両方の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されたり、(一定の条件あり)、「出産育児一時金」や「出産手当金」、また「出生時育児休業給付金」や「育児休業給付金」などの給付金も支給要件を満たせば支給を受けることができます。

●男女とも仕事と育児を両立できるように

子供が産まれた直後の時期に柔軟に育児休業が取得できるよう令和4年10月1日に「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されました。この法改正により、子の出生後8週間以内に4週間まで、2回に分割して取得できるようになりました。また、併せて1歳までの育児休業も2回に分割して取得できるようになりました。

●「孫休暇」で祖父母も育児

祖父母が孫の育児のために仕事を休める「孫休暇」の導入が自治体や企業で広がっています。「孫休暇」導入の背景として、定年の引き上げなどで働くシニアが増加したことと、子育てと仕事を両立させるための休暇所得を促進させることが挙げられます。育児を手伝うことで、子育て世代の負担を軽減する狙いがあり、また、祖父母世代にあたる上司や先輩が職場で「孫休暇」を取ることで、若手職員の休暇取得へ理解が深まることも期待されています。

福島県郡山市では年次有給休暇とは別に計8日間特別休暇として休みを取ることができ、広島県の精米機器メーカー「サタケ」には社員に孫が生まれたら、10日以内に3日連続で取得できる「イクじい・イクばあ休暇」があるそうです。

共働き・共育てを推進する柔軟な働き方の実現に向けた 取り組みが今後も広がっていくといいですね。

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