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税 務

通勤手当の所得税の非課税限度額の引上げ

税経管理第14部 部長 角田陵輔

1. 改正のポイント

令和8年度税制改正では、マイカー等通勤者に関する通勤手当の非課税限度額が見直されました。主な改正点は①片道65km以上の遠距離通勤者の限度額引上げ、②一定要件を満たす駐車場等の自己負担分について月額5,000円を上限に加算できるようになったことです。

なお、電車・バスのみ通勤する場合の非課税限度額(月額15万円)や交通機関とマイカー等を併用する場合の総額上限(月額15万円)は据え置きです。

2. 新旧金額の比較

項目 改正前 改正後 補足
マイカー等通勤片道65km以上75km未満 一律38,700円(改正前は55km以上) 45,700円 65km以上が細分化
マイカー等通勤片道75km以上85km未満 同上38,700円 52,700円 遠距離通勤者の枠拡大
マイカー等通勤片道85km以上95km未満 同上38,700円 59,600円 増額幅が大きい区分
マイカー等通勤片道95km以上 同上 38,700円 66,400円 新設された最上位区分
一定要件を満たす駐車場等料金 加算なし 月額5,000円上限で加算 通勤距離区分の限度額 に上乗せ
電車・バスのみ通勤 /併用時の総額上限 15万円 15万円 今回改正では据置き

3. 適用年月日

  • ・令和8年4月1 日以後に支払われるべき通勤手当から適用されます。
  • ・同日前に支払われるべき通勤手当の差額として後日追加支給するものは対象外です。

4. 制度の基本ルール

  • マイカー・自転車等のみの通勤者は、片道通勤距離に応じた月額限度額で判定します。
  • 交通機関との併用者は合算判定ですが、月額15万円が上限です。
  • 限度額超過分は支給月の給与に上乗せして源泉徴収します。

5. 実務における注意点

対象者の洗い替えを行う。片道65km以上の遠距離通勤者駐車場等を自己負担している通勤者を抽出し、通勤手段・経路・距離を再確認します。
距離判定の根拠を残す。距離は直線ではなく通勤経路に沿った長さで判定するため、経路図や申請書を保存します。
駐車場等加算の要件確認を厳密に行う。勤務場所または利用駅等の周辺にある駐車場等で、本人負担が常例であることを確認します。
上限5,000 円を超える駐車場代は自動的に全額非課税にはなりません。課税処理の要否を確認します。
電車・バスのみ通勤者の15 万円上限は据置きです。全従業員一律に見直すのではなく、対象者別に処理します。
差額追加支給の取扱いに注意する。改正前に支払われるべき分を後日追加支給しても改正後枠で再判定できるとは限りません。
給与システム・通勤申請書式・規程を同時に更新し、新設距離区分と駐車場加算欄を追加します。

6. 実務対応のすすめ方(簡易チェック)

  • 対象者抽出 65km 以上通勤者、駐車場自己負担者、併用者を抽出
  • 証憑確認  経路図、定期券額、駐車場契約書・領収書を保存
  • 設定変更  給与システムの距離区分と課税判定ロジックを更新
  • 社内周知  適用開始日と差額追加支給の扱いを共有
出典: 国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」
「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」
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