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経 営
「 少 人 数 私 募 債 」
〜ネットワーク時代の新たな資金調達法〜
税経管理第4部 部長 夏目 毅雄
中小企業における資金調達方法としては、金融機関等からの借入による「間
接金融」が大半だと思います。しかし、現状で金融機関から問題なく資金調達
を受けられる中小企業は多くないと思います。よほど信用力のある中小企業で
ないと、融資にはさまざまな条件が付いてきます。
そこで今回は、新たな資金調達方法として「少人数私募債」について簡単に
紹介していきます。あまりなじみのない言葉かもしれませんが、社債のことで
す。今までは、株式会社だけが社債を発行できました。しかし、「新会社法」
が平成18年5月1日より施行され、ほとんど全ての会社で社債の発行が出来
るようになりました。『中小企業白書2003』では「顔の見えるネットワー
クによる資金調達」として紹介されています。
【少人数私募債】
『少人数私募債とは、株主、経営者、役員、従業員、知人、取引先など
少数の会社関係者に対して発行する私募債のことです。』
社債を発行する場合、大企業は信用力で「公募」発行が可能です。しかし、
中小企業での「公募」発行は現実厳しいため、会社のことをよく知っている人、
よく理解している人に対して社債を発行するのが少人数私募債です。
★ 少人数私募債を発行するメリット★
1.発行手続きが簡単
社債の発行作業は大変ではないかと思われがちですが、少人数私募債の場合
は思ったほど大変な作業ではありません。また、金融機関の融資のように審査
といった煩わしさもありません。ただし、法律上作成すべき書類や債権購入者
への説明資料等の作成は必要になります。
2. 無担保で発行できる
金融機関からの融資の場合、担保が必要だったり、経営者個人の保証はもち
ろん、第三者保証まで要求されるケースもあります。
少人数私募債の場合には、会社を支援してくれる縁故者に対して社債を発行
(現在は、不発行可能)しますので、通常は担保なしで発行されます。
3.中長期の安定した資金として活用できる
金融機関からの借り入れのように、毎月返済資金を捻出する必要がありませ
ん。調達した資金は、通常償還期限に一括して返済します。期間中必要となる
のは、利払日の利息分を用意するだけであり、フル活用できます。
ちなみに、社債の利率、償還期間は自由に設定できます。
4.強固なネットワークの構築ができる
少人数私募債では、会社を支援してくれる人に対して、購入の勧誘をしてい
きます。社債の購入者はそれなりのリスクを抱えることになりますから、その
会社を支援しよう、社長を信じようという気持ちがないと、購入に応じてくれ
ないと思います。社債購入者が、従業員であれば、経営参加意識が向上するで
しょうし、社外関係者であれば、なんとかしてあげようと思うのではないでし
ょうか。この関係が強固なネットワークを構築するとおもいます。
★ 少人数私募債を発行する条件★
1.社債を募集する相手は50人未満であること
また、購入者に銀行、証券会社等の「金融のプロ」がいないこと。
2.社債1口の最低額が発行総額の50分の1よりも大きいこと
3.社債の総額が1億円未満であること
経営の成り立つシステムを考えよう
いよいよゼロ金利が解除され、新聞紙上には「景気回復」の文字が目に付き
ます。しかし、借入をしている中小企業にとっては、資金繰りは最重要課題と
なります。「少人数私募債」は中小企業にとって資金調達の際心強い制度です。
ただ、ここでもう一度考えていただきたいのは、「必要のない借入はしない」
ということです。少人数私募債といえども、償還期限には返済しなければなり
ません。現在営んでいる事業から、自己資金を捻出できるシステムを第一に考
えていくことが、経営者の役割ではないかと思います。
*「少人数私募債」に興味のある関与先さまは、各担当者にお尋ね下さい。
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