どうする人材確保
ここ数年、顧問先様へ訪問させていただくと必ずといってよいほど人手不足の相談があります。「人手さえあればもっと売上を伸ばすことができ利益を上げられるのに」とおっしゃる経営者の方は少なくありません。
人材確保を考える理由は何でしょうか。
人材確保は現在の経営課題を解決するものです。まず、自社の経営課題は何か原点に立ち戻り見つめ直す必要があります。固定観念にとらわれず、経営資源の融通や経営課題への対策を考えることです。
「組織は戦略に従う」という言葉は、米国の経営史学者であったアルフレッド・チャンドラーが言い始めたものです。たとえば、従業員が複数の業務を行うこと(マルチタスク化)ができれば、働く環境を整備することで新規雇用が必要なくなります。
また、「この業務はフルタイムの男性」「力仕事は若い男性」のように決めつけることで、求人の幅を狭めている可能性があります。機械化をすることによって女性やシニアでもできるようになるかもしれないし、業務を細分化することによってパート人材で対応できるかもしれません。特にスキルを持つシニア人材の雇用は、自社の人材の育成を考えるうえでも一つの方法であると思います。
人材の定着も課題の一つです。経営者は働く人の目線から職場環境を見直す必要があると思います。
働き方が多様化している中、従業員は評価が公平で働き甲斐のある風通しの良い職場、休暇や福利厚生が充実している職場を求めています。
物価高騰や最低賃金の上昇など人材を確保するための中小企業を取り巻く環境は厳しい状況ではありますが、自社の経営課題を見つめ、業務を見直し、働きやすい環境整備をしていくなどの総合的な取組が必要ではないでしょうか。