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税 務

宿 泊 税

税務管理第5部 部長 山内

宿泊税とは、一部の都道府県に導入されている法定外目的税と呼ばれるもので、ホテル又は旅館に宿泊する際に課税されます。宿泊税の税収は、観光の振興を図る施策に要する費用に充てられています。

東京都や大阪府、福岡県、長崎市なのでは既に導入され、札幌市や沖縄県でも導入が検討されています。

千葉県でも2024 年7 月の千葉県経済同友会総会で、熊谷俊人知事が「新しい千葉の時代を切り開く」と題して講演し、県が直面する現状と課題や宿泊税の導入など検討している旨の説明がありました。

【千葉県で導入が検討されている宿泊税案】

  • ・税額はいくら? → 外国人なども含めて一律定額で1人150円の予定です。
  • ・税収の見込み額は? → 年間42億円が見込まれます。
  • ・税の使い道は? → 観光地へのアクセス強化にバス・タクシーを増やしたり、
    レンタカー料金の割引を行うほか、不足している人材確保に使う予定です。

ちなみに、導入済みの東京都では100円または200円の税率で48億円の税収が見込まれ、Wi-Fi環境の整備や海外へのPR費用として使われており、長崎市では3億円の税収が見込まれ、世界遺産の関連施設などに充てられています。

この宿泊税が導入されますと、1人1泊150円のコストが増えますので、4人家族が1泊すると600円の税額となります。それほど高額とは感じませんが、今まで支払う必要のなかったものですので、負担に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。専門家の意見では、数百円の宿泊税で個人の観光客が減ることはないのではとみています。ただし、ツアー会社等のように何度も大人数を扱う場合、ツアー会社が宿泊税を負担することになると、宿泊先自体の変更の可能性も考えられます。

千葉県の2023年宿泊者数は約2,700万人で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年を比べると6.5%減とコロナ前水準に戻りつつあります。

県の「新しい観光振興に向けた研究会」が2月にまとめた意見書の中で早期の導入が適当とされ、宿泊税の必要性について「観光客のニーズの多様化に対応するハード面の対策は重要で、相当な費用が必要になる」との指摘がありました。導入にあたっては「使い道の明確化と『見える化』が大事」「宿泊事業者の手続きの負担が極力少なくなる制度にするべき」などの意見が出ています。

また、これとは別に2月から浦安市が独自に宿泊税の導入の検討を始めています。1泊100円で7億円の税収を見込んであり、舞浜地区へのインフラ整備に充てられることになるのではないでしょうか。県での宿泊税との調整等が必要になってくると思われます。

宿泊税を支払ったときの経理処理ですが、宿泊税は「地方税」に分類され、地方自治体が徴収する税金です。勘定科目は「租税公課」として処理するのが望ましいです。消費税の処理ですが、その支払いについては、商品やサービスの提供を受けたことに対する対価として支払うものではありません。そのため、課税の対象の4つの要件に該当せず、消費税の課税対象外取引(不課税取引)となります。

県は、市町村や宿泊事業者の意向などを調査し、会議に報告するとありますので、導入の際にはぜひ目的の明確化や税額なども慎重に協議していただきたいと思います。

紙幣や小銭のイラスト画像
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